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マーケティングダイブ | January 06, 2021

カートライトとグレイの「ザ・チョイス」がマーケティングダイブのキャンペーン・オブ・ザ・イヤーを受賞

制度的な人種差別を直接取り上げたあまり多くない広告が、目的を持って取り組んできたCPGマーケッターの歴史を際立たせている。

春にコロナウイルスの大流行が米国を騒がせ始めた直後、マーケティング担当者は予定されていたキャンペーンを中止し、現場の労働者を支援し、回復力を強調するクリエイティブさを優先した商品を押し出した。メッセージング戦略は、わずか数ヶ月後に、警察に拘束されていたジョージ・フロイドが殺害され、その後人種的正義を訴える抗議行動でさらに揺さぶられ、アメリカではすでに重い文化的に重い事項になった。

プロクター・アンド・ギャンブル社は、パンデミックの初期には意図的に積極的に事件に言及するのを控えていたが、フロイドの死とそれに伴う公民権運動に反応して、「ザ・チョイス」と題した大胆な広告を出し、白人消費者に自分たちの特権を認め、行動を起こすよう直接促した。 プロクター・アンド・ギャンブル社のブランドに特に関わらない75秒のスポット広告は、ブラックライブスマター運動を肯定し、白人が個々に自らの行動で人種差別的なものから遠ざかるだけでは、本当の変化を生み出すのに十分ではないことを強調している。

「アメリカで白人であれば、何も自分の命が重要であることを表明する必要性は無い。そして、あなたの命の重要さが問われたとき、あなたは自ら対処する力を持っている。今こそその力を使う時だ」と広告は主張し、視聴者に人種問題について自ら学ぶ為のリソースを探すよう促すにとどまらず、気になっている社会的な問題のために行進したり、寄付したり、投票したりするように促している

。 「ザ・チョイス」は、数百万ドル規模のマーケティング施策の目玉であり、偏見に対抗するためのプロクター・アンド・ギャンブル社の最も集中的な取り組みであり、マーケティング担当者が広告を超えた追加のリソースを通じて、人々を会話から行動へと導く方法を説明している。

「コミュニケーションは氷山の一角に過ぎない」と、プロクター・アンド・ギャンブル社のチーフ・コミュニケーション・オフィサーであるデイモン ジョーンズは10月に開催されたバーチャルパネルで述べている。「キャンペーンを始めるときには、『何を言いたいか』から会話を始めるのではなく、『何をしてるいるか』から始める」

「ザ・チョイス」に対する当初の受け止め方は まちまちで、一部の消費者はスポット広告を強引過ぎると受け止めている。エース-メトリックスは、同広告は人々に力を与えるよりも強引で、「危険ゾーン 」に立ち入っていると見ている。

しかし、プロクター・アンド・ギャンブル社は、人種的不平等への対処として、これまでも非宣伝的なアプローチを取っていることで際立っており、それぞれに論争を巻き起こしているが、時を経て、目的を持ったマーケティングの顕著な例として取り上げられている。

より大きな野望

プロクター・アンド・ギャンブル社は、世界最大級の広告会社としての影響力を活用して、変化に関わる事は新しいことでは無い。2006年以来、同社は「My Black is Beautiful」というFacebookページとマイクロサイトを運営し、様々なビデオや記事、その他のリソースを掲載しており、黒人の女性や少女たちに力を与えている。

2017年、パッケージ商品の巨大企業であるプロクター・アンド・ギャンブル社 は、そのグローバルな影響力をエミー賞を受賞した強力な広告「ザ・トーク」で人種差別という複雑な社会問題の検証を開始し、その2年後には「ザ・ルック」でその取り組みをフォローアップしている。今年の 「ザ・チョイス 」は、同社がこれまで行ってきた人種差別に関するメッセージングを拡張したものだが、多様性とインクルージョンのさらなる向上を目指す、より広範な社内イニシアティブと並行して行われている。

「私たちは完璧を求めず、先に進む事を検討している。一歩下がって、完璧になるのを待つ事はない」とジョーンズは10月のパネルで語った。

このマーケターは、「ザ・チョイス 」 を発表してからわずか数週間後に、人種的不平等の解消に向けたリーダーシップの誓いを掲げて、目的に沿ったメッセージングを強化している。6月下旬に開催された仮想カンヌライオンズイベントで、最高ブランド責任者マーク プリチャードは、米国での多文化表現の改善、黒人が所有・運営するメディア企業への投資の加速、すべての人種グループが公平に表現されるようになるための同社のメディア計画の詳細な検討など、プロクター・アンド・ギャンブル社が自らに課したベンチマークの概要を説明した。プリチャードは、同社がこれらの基準を満たさない場合には、メディアへの支出を削減するなどの措置を取ると述べた。

プリチャードが理事長を務める全米広告主協会が11月に発表した報告書では、女性の採用が進んでいることが明らかになったが、民族的なインクルージョンについては改善の余地があると指摘している。

プリチャードが述べるには、「プロクター・アンド・ギャンブル社では、管理職の男女平等という目標はほぼ達成している」「私たちは大きな進歩を遂げているが、構成を米国の人口と同等の人種・民族構成にするという私たちの願望を達成するためには、まだまだやるべきことがある」

何年にもわたって目的を持ったマーケティングに自社の価値を吹き込むブランドは、特に厳しい時期において、自社の単なるファンをブランド忠誠心の強い、長期的なロイヤリストに変えることができ、その価値は、疎外された顧客の潜在的な損失を上回るとされる。

同時に、人種差別のように非常に人の感情左右される領域に踏み込むことは、大きな障害を伴う。例え視聴者が広告主と同じ視点を共有している場合でも、社会運動を中心としたマーケティングメッセージを作成することは、マーケティング担当者がブランドのプラットフォームとして、地元で問題となっている社会運動に触れると言う、まさに地雷を踏んでしまう可能性がある。

プロクター・アンド・ギャンブル社はかなり前から人種差別の問題について真摯に向き合い、問題解決を図るべく、財政的支援を提供し、批判を回避してきた。同社はこの夏も、財政的支援の一環として「Take on Race」基金に最初の500万ドルの寄付を行っているが、この基金のパートナー組織として、NAACP Legal Defense and Education Fund、YWCA Stand Against Racism、そしてUnited Negro College Fundなどがある。

プロクター・アンド・ギャンブル社にとって、社会変革の力となることを誓約することは、キャンペーンへのアプローチを変え、完璧を超えた進歩に焦点を合わせ、ここ数か月の逆風の中でも後退しないことも意味する。 ジョーンズによると、潜在的な顧客を失うことは、これらの有意義な会話に取り組むことの犠牲である場合もある。

「私たちは、すべての人々が私たちに賛同していることを基準にしているわけでは無い」とジョーンズは述べる。「私たちが自分たちに課しているのは、消費者と有意義につながり、消費者を肯定的に認識し、把握しつつ、それを一貫して行うことである」

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